人事労務Q&A

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労働保険の手続きは、本社で一括できる?

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question

弊社(システム開発業)には、本店と支店が1つあります。
支店には50名近くおりますが、労働保険の諸手続きは、本店ですべて行いたいと思います。
このような考えは、法律上可能でしょうか。

anser

労働基準法をはじめ、労働者災害補償保険法(以下、労災保険)、雇用保険法、いずれもその適用を事業所単位で取り扱っています。
例えば、本店と支店があるような企業であれば、本店、支店それぞれが1つの適用事業所として、法令の適用を受けることになります。
従って、雇用保険や労災保険についても、本支店それぞれが適用事業所となり、事務手続きもそれぞれ別個に行われることになります。
とはいえ、労働保険料を納付するのは同じ1つの企業ですから、出来ればまとめて処理できたほうがスムーズです。そこで、労働保険料を取り扱う法律『労働保険徴収法』では、それぞれ別個の事業所を一括して手続きを行うことが可能にする仕組が設けられています。この仕組を「継続事業(※)の一括手続き」といいます。(※継続事業とは、事業の期間が予定されていない事業をいい、サービス業や製造業等はほとんどこれにあたります。)
なお、この継続事業の一括手続きを実施しても、雇用保険の加入や、労災保険の給付手続きは従来どおり、本支店それぞれで行うことになります。

保険料手続きは本社一括ができますが、雇用保険の加入や保険給付金手続きなどは、それぞれで行います
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給与の翌月清算

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question

先月、給与計算担当者が誤って、交通費を余分(10,000円のところを20,000円)に支給してしまいました。
そこで、今月の給与から、控除しようと思うのですが、可能でしょうか?

anser

従業員の皆様に支給する給与は、大切な労働の対価です。そのため、労働基準法では多くの定めがなされています。 中でも、労働基準法第24条1項では、賃金支払における5つの原則を定めています。

<賃金支払の5原則>
1)通貨払いの原則…賃金は通貨で支払う必要がある。
2)直接払いの原則…本人に直接支払う必要がある。
3)全額払いの原則…控除や天引きをすることなく賃金の全てを支払う必要がある。
4)毎月1回以上払いの原則…毎月1回以上支払う必要がある。
5)一定期日払いの原則…明確な支払い日を定める必要がある。

ご相談の内容から、3)全額払いの原則に違反するかどうか判断する必要がありそうです。
全額払いの原則をもう少し詳しく説明しますと、控除や天引きをしてはならない全額払いの原則には、一部例外があります。法律では次の例外を挙げています。

@法令に別段の定めがある場合
A当該事業場の労働者の過半数で組織する労働組合があるときはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がないときは、労働者の過半数を代表する者との書面による協定がある場合

@に該当する控除は、源泉所得税や、住民税、社会保険料や、雇用保険料をいいます。
Aに該当する控除は、協定の中で定めるもので、一般的には旅行積立や、インフルエンザ予防接種代等が挙げられます。
つまり、『賃金から何かを控除しようとするときは、法令にその定めがあるものか、労使協定により定めたもの限られる』と、言えます。
貴社に上記のような労使協定があり、その協定の中に『前月給与の過払い清算分』等の記載があれば、控除することが可能となります。

では、そのような労使協定がなければ、控除は出来ないのでしょうか?
労働基準法の解釈では次のようにしています。 「前月分の過払賃金を翌月分で清算する程度は、賃金それ自体の計算に関するものであるから、法第24条(全額払いの原則)の違反とは認められない。」(昭23.9.14基発1357号)
したがって、たとえ労使協定がなくとも、前月分を当月に清算する程度なら、法違反とはならないということです。

なお、法律上清算は可能といえど、労働者からしてみれば、当月の給与に影響が及びます。労働者によっては、生活に支障が出る場合もあるでしょう。また、清算額が多額に昇る場合は、賃金から控除するのではなく、別の方法を検討することも必要でしょう。 そこで、清算する際は、事前にその事情をきちんと説明した上で、清算すること、清算方法についてしっかりと理解した上で、同意を得るようにしましょう

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賃金過払い清算時のチェックポイント
1)賃金から控除することは、法24条全額払いの原則に違反します。
2)労使協定に控除に関する定めがありますか?
3)前月の賃金の清算ですか?
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有給休暇 出勤率の算定は?

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question

弊社(製造業)では、4月1日を基準日に、有給休暇を一斉付与しています。 また、4月1日採用の新卒者については、3ヵ月後に出勤率が8割以上有する者に限り、10日を付与する見込みです。このとき、出勤率の算定は、雇い入れ日から3ヶ月をもって計算すればよろしいのでしょうか?

anser

労働基準法では、年次有給休暇の付与方法や、付与日数等が定められています。具体的には、雇い入れから6ヵ月後に出勤率を算定し、全労働日に対し8割以上出勤しているものついて、10日の有給休暇を付与するよう定められています。 なお、以降1年ごとに出勤率を算定し、勤続年数に応じた有給休暇を付与することになります。ところで、ご質問にある一定の基準日を設けて、その基準日ごとに有給休暇を付与することは可能なのでしょうか。 (平成6.1.4基発1号)では、次を満たした場合に、基準日付与を認める旨の記載があります。

要件1:
斉一的取扱い(基準日付与のこと)や分割付与(例えば入社時に4日、6ヶ月経過後6日など)により法定の基準日以前に付与する場合の年次有給休暇の付与要件である8割出勤の算定は、短縮された期間は全期間出勤したものとみなすこと
要件2:
次年度以降の年次有給休暇の付与日についても、初年度の付与日を基準日より繰り上げること

それぞれの要件を具体的に解説します。 要件1について、 例えば、ご相談の例のように 入社後3ヶ月経過した時に10日の有給休暇を付与する場合、通常の付与日よりも3ヶ月早く付与することになります。このとき、通常の付与日より短縮した3ヶ月は、全て出勤したものとして取り扱うことになります。

有給休暇の例

これは、入社から極端に短い期間で出勤率を算定する場合、不利にならないようにするためです。
(例えば、入社1ヵ月後に10日付与するとした場合、1ヶ月間で出勤率を見てしまった結果、付与されなかったとすると、以降1年間有給が発生しないことになるためです。)
このとき、上記の計算式の分母(労働日数)並びに、分子(出勤日数)には、含めるものと含めないものが有ります。これは、チェックポイントを参考にしてください。

要件2について、 法定の付与日より前に有給を付与した場合、同様に次年度以降の有給付与日数も前倒す必要があります。 (下図参照)

計算方法図

以上 要件1と要件2を満たした場合に限り、有給休暇の基準日付与が可能となります。基準日付与については、労働基準法に定める年次有給休暇の付与要件を下回ることはできませんから、少なくとも法定の付与日には、労働基準法に定める出勤率の算定に基づいて、付与日数を算出し年次有給休暇を与える必要があります。

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年次有給休暇の基準日付付与に関するチェックポイント
1)要件1、要件2を満たすこと。
2)出勤率の算定に含めるものと含めないもの
労働日数から除くもの
・使用者の責めに帰すべき休業期間
・正当なストライキその他正当な争議行為により労務提供されなかった期間
・所定休日に労働した日
・労働者が時間外労働に係る割り増し賃金の支払いに代わる代替休暇を取得し終日出勤しなかった日
出勤として扱うもの
・業務上の傷病の療養のために休業した期間
・産前産後の女性が労働基準法に定める産前産後休業をした期間
・育児・介護休業法に基づく育児介護休業を取得した期間
・年次有給休暇を取得した期間
3)労働基準法を下回ることができないこと
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定年再雇用時の社会保険料が下がる?

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question

平成22年9月に健康保険法の一部が改正されたと伺いました。具体的に解説下さい。なお、弊社では定年後も引き続き嘱託として雇用しています。

anser

平成22年9月1日に健康保険及び厚生年金保険法に関する通知が見直されました。
これにより、退職後の継続再雇用にあたり、標準報酬月額の決定方法が変更されることになりました。
健康保険や厚生年金に加入すると、保険に加入した労働者の賃金額を元に保険料の目安となる「標準報酬月額」を決定します。この標準報酬月額は、毎年7月に行う算定基礎届、固定給額に変動(昇給や降給)があった場合に行う月額変更届により変更が加えられます。
退職後継続再雇用され、これにより固定給などの給与が著しく下がった場合でも、月額変更届による手続きを行う必要がありました。月額変更届は、固定給額の変動後4か月目に標準報酬月額が変更されるため、少なくとも4ヶ月間は、従来の定年退職前の高い給与額に基づく標準報酬月額が適用され、結果保険料も割高となることがありました。
ただし、60歳から64歳までの方で、年金を受け取る権利のある方が定年退職により継続再雇用された場合に限り、月額変更届の手続きを経ずとも、再雇用された月から標準報酬月額を変更することが出来ました。
この度の改正では、この標準報酬月額の決定方法を定年再雇用時に限らず、次の場合にも適用できるようになりました。  

  • 1)定年に達する前に退職し、継続再雇用される場合
  • 2)定年制のない会社で退職後に、継続再雇用される場合

ただし、いずれの場合も、年金を受け取れる権利のある60歳から64歳までの方が退職後に1日の空白もなく継続再雇用される場合に限られますからご注意下さい。

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定年以外による継続再雇用時のチェックポイント
1)定年退職以外の継続再雇用でも、再雇用した月に標準報酬月額が変更できる。
2)60歳以上64歳までの年金を受け取る権利のある方が対象。
3)再雇用契約の更新時であっても、同じ扱いが可能。
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一人ぼっちの支店、36協定は必要ですか?

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question

新たに支店を設けることになりました。
ただ、開設から1年間は、本社から職員を1名だけ転勤させ、本社の指示のもとに運営の準備に取り掛かる予定です。
ちなみに、この職員は本社の部長であり、いわゆる管理監督的立場にあるものと考えております。 ご相談は、時間外労働や休日労働が必要な場合、36協定を提出することになるかと思いますが、この場合の支店の方でも36協定を提出する必要がありますでしょうか。

anser

働基準法は、事業所単位で適用されます。
適用単位は、本店、支店、工場というように、経営上一体をなすようなものであっても、原則として場所的に分散しているものは、別個の事業ととして扱われ、それぞれが適用単位となります。今回のご相談も原則としては、本店、支店それぞれに36協定が必要となります。
ただ、事情は複雑です。複雑な事情とは次の2つです。
1)支店には1人しかおらず、増員も予定していない。(指揮命令も本社から受ける)
2)支店の従業員が管理監督的地位にある。


要素が複雑な場合は、1つずつ法令に当てはめていきましょう。
まずは、1)支店には1人しかおらず、増員も予定していない。(指揮命令も本社から受ける)について、整理しましょう。
前述したとおり、労働基準法は、事業所単位で適用されます。本店や支店など別個の事業として取り扱われるわけですが、法律を更に読み込むと次のように記載されています。
「出張所、支店等で規模が小さく組織的関連ないし事務能力を勘案して、一の事業という程度の独立性のないものの場合であり、例えば新聞社の通信部や労務管理が一体として行われていない建設現場等の場合は直近上位の機構と一括して一の事業として取り扱うこと」
つまり、支店等場所的に分散されていても、規模、従業員数、事務能力や労務管理の区分などを勘案して、独立性がなければ、直近上位(本社等)の機構に一括することができると考えられます。
ご相談の支店は、1人しかおらず、本社の指揮命令の下に業務が遂行されていることから、事務能力はほぼないと考えられます。したがって、独立性に乏しく、本社と一括した一の事業と考えることができそうです。
となれば、36協定の提出も本社のみで良いことになります。


次に、2)支店の従業員が管理監督的地位にある。について、検討しましょう。
労働基準法にいう監督・管理の地位にある者は、世間一般にいう管理監督者と比べて非常に範囲が狭いものと考えてください。
通達では、名称(部長や課長といった職種名など)にとらわれず、職務内容や責任と権限、勤務の態様、その地位にふさわしい待遇がなされているか否か等に着目して、実態に即して判断するもの(昭22.9.13発基17号)とされており、明確な基準はありません。ただ、判例を見てみると、経営方針の決定に参画している、労務管理上の権限を有する、出退勤の厳格な規制を受けていない、職務にふさわしい処遇がなされている、といったところが判断基準と考えることが出来ると思われます。


ご相談の部長さんが、労働基準法にいう監督・管理の地位にある者に当てはまるようであれば、時間外労働や、休日労働に関する定めにについて適用が除外されますから、36協定の必要はありません。
監督・管理の地位にある者に当てはまらない場合、時間外労働や休日労働を実施する場合、36協定が必要となります。

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支店の36協定のチェックポイント
1)労働基準法は、事業所単位で適用されるため、本店、支店それぞれの別個の事業として扱われる。
2)原則として、36協定は本支店それぞれで提出することを要する。
3)支店等の規模や、組織的関連、事務処理能力等によっては、直近上位の事業に一括して適用される。
4)労働基準法にいう監督・管理の地位にある者と一般にいう管理監督者の範囲は異なる。時間外労働の対象について
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