第190回◆副業先で労災発生、給付の額は?◆
人事担当者です。当社では副業兼業を容認しており、数名のスタッフが副業を行っています。そのうち1人が、副業先で業務中に事故に遭ってしまいました。
この場合、労災から受けられる給付は、当社の賃金と副業先の賃金のどちらを基準に支給されるのでしょうか?
労災保険は、労働者が副業であるか本業であるかにかかわらず、1人でも雇用していれば労災保険に加入する必要があります。また、労災保険は、労働基準法に定める個別の事業主の災害補償責任を担保するものですから、その給付についても、災害が発生した就業先の賃金分のみに基づいて算出されるものとなっています。
したがって、副業先で就業中に事故が発生したとのことですので、この場合の労災保険の給付は、副業先の賃金分のみに基づいて算出されるものとなります。
えてして、本業と比べて副業の賃金は低くなりやすいため、給付額も自ずと低くなることが見込まれます。
本人からすれば、本業と副業の双方の収入で生活のベースが設計されていますから、万が一休業が長引くようなことがあれば、生活がままならないといった事態を招きかねません。労働者には、十分な説明はもとより、別段の補償も視野に入れる必要があるかもしれません。
本文章は、2019年6月に寄稿されたものです。
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