第2章 第2節 会社における健康管理

第2章 第2節 会社における健康管理

千鳥ヶ淵研究室 主任研究員 千本春菜

会社はどのようにして従業員の健康管理を行う必要があるのだろうか。今節では、会社が労働者の健康を確保するための措置について、原則的なものとコロナ禍におけるものの二つの措置に分けて述べていく。

1、会社が行うべき健康確保措置

原則、会社が行わなければならない健康確保措置として、次のようなものが挙げられる。

1)年一回の定期健康診断

2)労働時間の管理(客観的な把握)

3)ストレスチェック

定期健康診断については、労働安全衛生規則第44条に「事業者は、常時使用する労働者に対し、一年以内ごとに一回、定期に医師による健康診断を行わなければならない。」と定められている。これには、従業員が作業することにより引き起こされる事故や疾病を防ぎ、またはそれを早期発見し被害の拡大を防止する目的がある。また、個々の従業員の診断結果は職場の作業管理の重要な情報であり、環境改善のための資料ともなり得る。

労働時間の管理については、労働基準法により使用者は労働時間を適切に管理する責務を有しているほか、労働安全衛生法第66条8の3において労働時間の把握が義務づけられている。この際、タイムカードの記録やパソコンの使用記録等、客観的な方法で把握を行う必要がある。この目的として、長時間労働者に対して産業医などの医師による面接指導を確実に実施することなどが挙げられる。

ストレスチェックについては、労働安全衛生法第66条の10、労働安全衛生法施行令第5条において、労働者が常時50人以上いる事業所では毎年1回全ての労働者に対してストレスチェックを実施することが義務づけられている。ストレスチェックとは、ストレスに関する質問票に労働者が記入し、それを集計・分析することで自分のストレスがどのような状況にあるのかを調べる検査のことである。

2、コロナ禍における健康確保措置

コロナ禍においては、原則行われる健康確保措置に加えて職場の感染症対策も行う必要がある。厚生労働省では、感染症対策を実施するためのポイントとして次の5点を挙げている。

1)テレワーク・時差出勤等の推奨

2)体調不良の際に休みやすいルールの策定、雰囲気づくり

3)職場の三密を避ける工夫(距離の確保、換気等)

4)「感染リスクが高まる『5つの場面』」での対策、呼びかけ

5)感染防止のための基本的な対策(消毒、咳エチケット等)

これらの措置は会社主体で積極的に実践していくとともに、従業員への周知や協力を求めていく必要がある。特に外国人労働者がいる職場では、感染症対策を周知させる方法として、外国語に翻訳した資料を渡したという実践例もある。

また、テレワーク下では、以下のようなチェックリストで対策が提示されている(図表1抜粋)。

健康確保対策としては、

      • テレワーク中の労働者の健康診断受診における負担軽減に配慮しているか
      • テレワーク中の労働者にオンラインで面接指導を行った場合、医師に事業場や労働者に関する情報を提供し、円滑に送受信可能な情報通信機器を用いて実施しているか

メンタルヘルス対策としては、

      • 時期を逸せずにテレワーク中の労働者がストレスチェックを受けられる配慮をしているか
      • ストレスチェック結果の集団分析は、テレワークが通常の勤務と異なることに留意して行っているか

その他の対策としては、

      • 同僚とのコミュニケーション、日常的な業務相談や業務指導を円滑に行うための取組がされているか
      • 災害発生時・業務上の緊急事態発生時の連絡体制を構築し、テレワーク中の労働者に周知させているか

以上のように、会社は常に従業員の健康確保を求められ、コロナ禍の現在においては更なる措置を講じなければならない。次節では、テレワークにおける衛生規則について述べていく。

図表1(抜粋)

厚生労働省 : https://www.mhlw.go.jp/content/000755113.pdf