第182回◆部分ストと休業手当請求権◆

人事担当者です。
12月9日にご相談した内容の続きになります。
弊社のある工場でストライキが発生しました。
ただし、労働組合員全員参加のストではなくて、一部の組合員によって計画・実行されたものです。
スト不参加の組合員に、賃金は支給しないと伝えたところ、
今度は、休業手当を請求されてしまいました。
果たして会社は労働者からの休業手当請求に応じる必要があるのでしょうか?


<参考判例>
ノースウエスト航空事件、最判昭和62・7・17(民集41巻5号1283頁)

部分ストと休業手当請求権 (破棄自判)
判旨抜粋
①労基法26条は、「使用者の責に帰すべき事由」による休業の場合に、
使用者の負担において労働者の生活をその規定する限度で保障しようとする趣旨によるものであって、
同条項が民法536条2項の適用を排除するものではなく、休業手当請求権と賃金請求権とは競合しうるものである。
②労基法上の「使用者の責に帰すべき事由」は、
民法の「債権者の責に帰すべき事由」よりも広く、
使用者側に起因する経営、管理上の障害を含むものと解するのが相当である。
③本件ストライキは、本件組合がその主体的判断と責任に基づいて行ったものであり、それによってXらの労働が社会観念上無価値となったのであり、
「Y会社がXらに命じた休業は、Y会社側に起因する経営、管理上の障害によるものということはできないから、Y会社の責に帰す事由によるものということはできず、Xらは右休業につきY会社に対し休業手当を請求することはできない」。
<結論>
以上の判例から、
ストライキによる休業は、労働組合の権利行使によるものであるため、
使用者(債権者)の責めに帰すべき事由とは言えないことから、労働者は休業手当の請求ができないことになります。
よって、使用者がストライキ中に休業を命じた場合、会社には、その休業期間中の休業手当支払の義務はないと読み解くことができます。

本文章は、2019年12月に寄稿されたものです。


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