第198回【新型コロナウイルス感染症 特別寄稿-2-】新型コロナウイルスと社内対策

第198回【新型コロナウイルス感染症 特別寄稿-2-】新型コロナウイルスと社内対策

人事を担当しているものです。
新型コロナウイルスに感染した場合等を想定し、社内でも対策を取ろうと考えています。
感染者・濃厚接触者等、社員の状態別に方針を定めたいのですが、具体的な事例等ご紹介いただけますでしょうか?


実務的な運用として、次の方法が考えられます。
ご参考となれば幸いです。

<実務的な運用例>
Ⅰ、従業員の中で「感染者」が発生した場合
1、「感染した従業員」への対応
(1)回復と感染の拡大を予防するため就労制限を行う。
(2)強制的に就業禁止となるため、「休業手当は不要」。
(3)健康保険の傷病手当金の支給申請が可能。
(4)現在、新型コロナウイルスの完治までは、およそ2週間程度要するとされている。

2、「濃厚接触者」となる従業員への対応
(1)感染した従業員の職場での打ち合わせ、会議等の出席、就業環境などを確認し、濃厚接触した疑いのある従業員や部門等を調査する。
(2)調査の結果、感染した従業員と接触した疑いのある方もしくは部門については、在宅勤務、一時的な休業等を実施する。
また、併せて体温検査など健康状態の報告の実施を行う。

【健康状態の確認において大切なこと】
①体温は正常か
②咳や体のだるさの有無
③頭痛や吐き気の有無

【留意事項】
①一時的な休業を実施した場合、「感染自体はしていないため、休業手当の支給が求められる」。
②直前に、年次有給休暇の消化を希望する方が現れる可能性も考えられる。
また、企業によっては特別休暇を付与するケースも見受けられる。

3、「高齢になる家族と同居」している従業員、もしくは「妊娠中の従業員や配偶者」がいる場合の対応
正確な情報か定かではないが、高齢者が感染した場合、重篤になりやすいとされている。また、妊娠中の従業員が感染した場合、胎児への影響が懸念されている。
そこで、企業によっては、①欠勤を承認することや、希望者に限り②休業や③在宅勤務を選択できるようにしているケースも存在する。
この場合も、前述同様、「休業させた場合は休業手当の支払いが必要」となる。

4、「慢性的な疾患を有する従業員」がいる場合の対応
慢性的な疾患(肺疾患や糖尿病、心不全など)を有する従業員については、症状が重篤になりやすいとされている。
そのため、前述「3」のとおり希望者に限って対応を検討する余地も考えられる。

5、発熱などで「自主的に欠勤している従業員」への対応
(1)新型コロナウイルスかどうかわからない段階で、発熱等により自主的に欠勤している場合は、「休業手当の支払いは不要」。そのため、通常の欠勤と同じ処理をおこなうことになるといえる。
(2)しかしながら、万が一のことを考えて、健康状態の確認を並行することが適切であると考える。
健康状態によって新型コロナウイルスの感染が疑われる場合は、医療機関への診断を促し、併せて、症状が発生する前の行動や職場での行動をヒアリングして、新型コロナウイルスの陽性反応が出た場合に備えることも検討できる。

 

いささか長文のご案内となりまして申し訳ございません。
上述の取組みが具体的な実務上の運用となりますが、
あくまで対応の一例でありますことを、お心置きくださいますようお願い申し上げます。

 

 

新型コロナ対策本部
本部長 小林 幸雄

※本文章は、2020年4月に寄稿しています。


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