第358回◆公共交通機関の値上げによる随時改定◆

◆公共交通機関の値上げによる随時改定◆

人事担当者です。
弊社では公共交通機関を利用する社員の交通費について、毎月定期代を支給しております。
今月、ある電車通勤の社員より、現在利用している乗車区間の運賃の値上げがあったと報告がありました。この場合、通勤区間や経路が変わっていませんが、随時改定の対象となるのでしょうか。また、その場合、随時改定のどの要件に当てはまるのでしょうか。


上記の場合、その該当の社員の方は随時改定の対象となる可能性があります。
一般的に通勤費として定期代を毎月支給しているという場合、通勤費は固定的賃金の扱いとなりますので、今回のケースであれば、固定給の変動が要件の随時改定となります。
このように、住所の変更や通勤方法の変更が起こっていない場合でも、随時改定の対象となる場合があります。

なお、随時改定は固定給の変動の他に、以下の2点の要件が全て揃った際に起こります。

・変動月からの3カ月間に支給された報酬(残業手当等の非固定的賃金を含む)の平均月額に該当する標準報酬月額とこれまでの標準報酬月額との間に2等級以上の差が生じた。(※1)
・3カ月とも支払基礎日数が17日(特定適用事業所に勤務する短時間労働者は11日)以上である。

※1:従前の標準報酬月額が上限(健保:1390千、年金:650千)や、下限(健保:58千円、年金:88千円)の場合は、1等級の差でも随時改定の対象となる場合がある

日本年金機構ホームページ 随時改定(月額変更届):https://www.nenkin.go.jp/service/kounen/hokenryo/hoshu/20150515-02.html

※本文章は2023年6月に寄稿しています。


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