第381回◆年次有給休暇の時期変更権について◆

◆年次有給休暇の時期変更権について◆

企業の人事を担当してます。当社の規模は、従業員数20名ほどです。忙しい時は、年次有給休暇(以下、有休)の申請があっても、従業員に他の日に休みを変えてもらえないかとお願いし、他の日に有休を取得してもらっています。そのようなこともあり、申請通りに休むことができないと不満が一部出ています。そこで、時季変更権をする時の「事業の正常な運営を妨げる場合」はどのような状態であれば該当するものなのか、ご教示いただけませんでしょうか。


労働基準法第39条により、有休は「労働者の請求する時季に与えなければならない」と定められています。一方で、時季変更権は、「労働者が請求した時季に有休を与えることで事業の正常な運営を妨げる場合は、他の時季に与えることできる」とされています。
ここでいう「事業」とは、個人あるいは職場を単位とした業務ではなく、事業場をいうものと解されています。
「正常な運営の阻害」については、判例では、その事業の規模・業務内容、当該労働者の職務内容・繁忙度、代替要員確保の困難度などの要素で総合的に判断しています。
したがって、従業員が有休を申請した際に、当該従業員の業務内容やシフト制であれば、事前のシフト調整ができないか代替要員の確保の確認をすることが必要です。それでもなお、恒常的にカバーすることができない常況であれば、会社として人員の補充など根本的に変える必要があると考えます。

※本文章は2023年11月に寄稿しています。


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