第55回◆退職時の有給休暇の買い上げについて◆

第55回◆退職時の有給休暇の買い上げについて◆

企業の人事を担当しています。今回退職を予定している社員から「余っている有給休暇を買い上げて欲しい」と主張されました。

有給の買い上げは違法と聞きますが、会社としてはどのように対応したらよいでしょうか。

 


退職時に使い切れなかった有給休暇を買い上げるかは、会社の裁量次第となります。
有給休暇の趣旨は労働者の心身をリフレッシュさせることが目的であり、原則として買い上げを予約することは禁止されています。有給休暇の買い上げを予約することは「お金を支払うから、有給休暇を使わないでください」と言うことと同義であり、労働者の心身をリフレッシュさせるという趣旨が全うできなくなってしまうからです。
ただし、例外的に以下の有給休暇を買い上げる場合は、違法とは解されていません。

1.法定付与日数を上回る有給休暇分
2.時効により消滅した有給休暇分
3.退職により権利を行使できなかった有給休暇分

今回の場合3のケースにあたるため、買い上げを行うこと自体は可能です。ただし、上記の取り扱いは法的に定まっているものではありません。会社が有給休暇を買い上げたとしても違法ではなくなりますが、逆に言えば労働者から余った有給休暇の買い上げを請求された際、その請求に応える義務も発生しません。
そのため、今回のように有給休暇の買い上げを請求をされた際、相応分の金銭を支払うかは会社の裁量次第となります。
ただし、今回退職予定者の希望に応じた場合には、買い上げに関する前例を作ってしまうことになり、今後退職に際し有給休暇買い上げを希望する方が増えてしまうリスクがあります。
そのため、今回の場合は退職予定者とよく話し合って、有給休暇を消化させるように退職日について相談することが望ましいでしょう。
また、今後の会社としての対応では、普段から有給休暇の取得を促す、もしくは計画年休制度を導入するなど、有給休暇が余ってしまわないよう取り組み、今回のようなトラブルを事前に防ぐ体制を整えることが大切でしょう。


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第54回◆労働基準監督署の調査・監督の流れ3◆

第54回◆労働基準監督署の調査・監督の流れ3◆

上場企業の法務を担当しております。労働基準監督署の調査について、どのような流れか詳しくお聞かせください。

 


 

労働基準監督署の監督により、是正勧告書が出された場合、企業はどのような対応が求められるのでしょうか。

法令違反とされた事情が、どのように改善されたのか改善の進捗について労働基準監督署に報告をする必要があります。
是正勧告書が出されたにも関わらず。改善が進まなかったり、放置していたりすると、再度改善が求められ、それでもなお、改善されない場合は、書類送検され罰則の適用を受ける場合があります。

 

 

主な罰則
 違反事由:割増賃金の未払い 
    罰則:6ヶ月以下の懲役又は30万円以下の罰金

 違反事由:解雇予告違反   
    罰則:6ヶ月以下の懲役又は30万円以下の罰金

 


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第53回◆最近耳にする専門用語、どんな意味?◆

第53回◆最近耳にする専門用語、どんな意味?◆

近年、耳慣れない専門用語が、数多く出現しています。
ここでは、労務関連の最新キーワードを紹介し、その意味を解説したいと思います。
今週のキーワード

『労働時間貯蓄制度』


労働時間貯蓄制度とは、ドイツなどで実施されている労働時間モデルの一つで、契約上の労働時間と実労働時間の差(残業や休日出勤など所定外の労働時間)を積み立て、後日、従業員が有給休暇などに振り替えて利用できるしくみのことです。
不況下でも一時解雇を避けながら生産調整できるといった雇用環境の変化にも対応できる点などが受け、1990年代後半からドイツの製造業や金融業を中心に普及し始めたといわれています。
平成25年12月に行われた政府の規制改革会議でも労働時間法制の包括的な改革の一つとして、この「労働時間貯蓄制度」が取り上げられました。
 今後は、勤務インターバル制度などとともにこの「労働時間貯蓄制度」が働き方改革の手段として用いられるかもしれません。


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第52回◆最近耳にする専門用語、どんな意味?◆

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近年、耳慣れない専門用語が、数多く出現しています。
ここでは、労務関連の最新キーワードを紹介し、その意味を解説したいと思います。
今週のキーワード

『ドナー休暇制度』

 


ドナー休暇制度とは、白血病等の治療のため、骨髄や末梢血幹細胞を提供するドナーに対して与える特別な休暇です。
骨髄等の提供には平均して3泊4日の入院や通院が必要となるため、その期間を欠勤扱いとしないよう取り計らう制度です。

この制度は、国家公務員の人事院規則の中にも盛り込まれ、民間においても導入を進める企業が増えており、移植促進の具体策として注目されています。


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第51回◆労働基準監督署の調査・監督の流れ2◆

第51回◆労働基準監督署の調査・監督の流れ2◆

上場企業の法務を担当しております。労働基準監督署の調査について、どのような流れか詳しくお聞かせください。

 


 

上場企業の法務を担当しております。労働基準監督署の調査について、どのような流れか詳しくお聞かせください。

労働基準監督官(以下労働基準監督署)が行う調査には、次の2種類あります。
①申告監督(申告臨検)
 労働基準監督署が、従業員等からの申告を受けて監督調査を実施する。
②定期監督(定期臨検)
 労働基準監督署が、無作為に抽出した企業を監督調査する。

①、②いずれの場合であっても、監督調査の流れに大きな変わりはありません。
実際の監督調査の流れは次のとおりです。

調査の結果、法令違反が確認された場合は「是正勧告書」により是正命令を、法令違反ではないものの改善が求められる場合は、「改善指導票」による改善命令を受けることになります。

次回は、是正勧告書による指導を受けた後について、説明したいと思います。

第50回◆最近耳にする専門用語、どんな意味?◆

第50回◆最近耳にする専門用語、どんな意味?◆

近年、耳慣れない専門用語が、数多く出現しています。
ここでは、労務関連の最新キーワードを紹介し、その意味を解説したいと思います。
今週のキーワード

『立ち会議』


立ち会議とは参加者が立って行う短時間の会議や打ち合わせのことで、スタンドアップ・ミーティングとも呼ばれます。関係者が必要に応じてオフィスの一角に集まり、起立したまま時間を区切って、必要な要件についてのみ情報の伝達・共有、相談、意思決定などを図るのが特徴です。立つことでメンバー個々の集中力が高まり、会議時間の短縮化が可能になるなど、これまでにも利点が指摘されてきました。ムダな会議が減り、生産性向上が期待できることから労働時間の削減のために導入する企業が増えています。


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第49回◆健康診断受診中の賃金について◆

第49回◆健康診断受診中の賃金について◆

企業の人事を担当しています。従業員に健康診断を実施していますが、受診している間の賃金はどのように取り扱うべきか、教えてください。

 


健康診断の種類は大きく2つあり、その種類によって賃金の取り扱いは異なります。

①一般健康診断
雇入れ時の健康診断や、1年以内ごとに1回、定期に実施する定期健康診断などは一般健康診断と呼ばれます。一般健康診断は、労働者の一般的な健康の確保をはかることを目的としており、業務遂行との関連において行われるものではないため、その受診に要した時間の賃金については労使で協議して定めるべきとされています。
当然に賃金を支払うべきとはされていませんが、労働者の健康確保は事業の円滑な運営に不可欠な要素であることを考えると、受診に要した時間に対しては賃金を支払うことが望ましいとされています。

②特殊健康診断
法定の有害業務に従事する労働者へ実施する義務がある健康診断は、特殊健康診断と呼ばれます。特殊健康診断は業務遂行のため当然に実施されなければならない性格のものであり、その実施に要する時間は労働時間と解されるので、賃金の支払いが必要になります。


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第48回◆労働基準監督署の調査・監督の流れ1◆

第48回◆労働基準監督署の調査・監督の流れ1◆

上場企業の法務を担当しております。労働基準監督署の調査について、どのような流れか詳しくお聞かせください。

 


上場企業の法務を担当しております。労働基準監督署の調査について、どのような流れか詳しくお聞かせください。

 

労働基準法を施行するために労働基準監督署の職員には、労働基準監督官が存在します。
この労働基準監督官には、次のような権限が与えられています。
①事業場、寄宿舎等に臨検(法令違反の有無を確認するため事業場等に立ち入ること)し、帳簿及び書類の提出を求めたり、使用者や労働者に尋問を行うこと
②法令違反の罪について、司法警察官の職務(犯罪の捜査や差し押さえなど)を行うこと。
③事業の附属寄宿舎が安全及び衛生に関して定められた基準に違反し、かつ、労働者に急迫した危険がある場合に、その使用を停止することを命じること。
これら①から③の権限により、労働基準監督官は、事業所に立ち入り事業主や労働者に対して報告を求めたり、違反者を逮捕することができます。

では、次回はこのような権限による立ち入りの流れをご紹介したいと思います。


 

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第47回◆最近耳にする専門用語、どんな意味?◆

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近年、耳慣れない専門用語が、数多く出現しています。
ここでは、労務関連の最新キーワードを紹介し、その意味を解説したいと思います。
今週のキーワード

『週休三日制』


週休三日制とは、近年、大企業を中心に導入が増えている新しい休日制度で、一般に企業などが週三日の休日を設けることを言います。現時点では、まだ厳密な定義はなく、従来の「週休二日制」と「完全週休二日制」のような区別もされていません。厚生労働省の就労条件総合調査によると、2015年には、週三日以上の休みがある企業の比率が10年前の3倍にあたる8%となっています。
人手不足感が強まる中で、介護や育児といった家庭の事情を抱える人も柔軟な勤務スタイルを整え、人材確保や生産性向上を目指す週休三日制への注目が高まっています。

 


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第46回◆最近耳にする専門用語、どんな意味?◆

◆最近耳にする専門用語、どんな意味?◆

近年、耳慣れない専門用語が、数多く出現しています。
ここでは、労務関連の最新キーワードを紹介し、その意味を解説したいと思います。
今週のキーワード

『インターバル規制』


インターバル規制とは、労働者の休息を確保するため、1日の勤務終了時から次の勤務開始時までの間に、一定時間の間隔を空けるようにする制度です。
例えば、勤務間のインターバルを11時間と設定した場合、前日23時まで働いた人は、会社の始業時間が9時と規定されていても、翌朝10時に出勤すればよいということになります。
この制度は、EU諸国ではすでに導入されており、恒常的な長時間労働の是正や、ワークライフバランス推進策のひとつとして注目されています。

 


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